【完】ヒミツの恋を君と。

組み敷かれた体。


晴はあたしの手首を掴んで、床に押し付けて、あたしの体をまたいでる。

狭い玄関でこんな風にされたら、身動きなんて取れない。



ううん、違う。

狭いからこんな体勢だから身動きが取れないんじゃない。



晴の目が、視線を外す事も動く事も許してくれないからだ。



晴は今日、眼鏡を掛けてない。

髪の毛も寝ぐせヘアーじゃなくて、イケメンの外はねヘアーでもなくて、ナチュラルヘア。


上からあたしを覗き込むのは、何にも取り繕ってない、素の晴──




今まで何も言わずあたしを見てただけの晴がゆっくり動く。


あたしの方に、顔を近づけてくる。


「え?は……る?」





震える声があたしの唇から漏れる。




晴がどんどん近付いてきて、顔を少し傾けた。


キスされる──




そう感じ取ったあたしは、





「イヤっ!」





そう叫びながら、手と足を必死に動かした。


それを許さないとばかりに、晴が手に力を込めて、一気に近付いてきた。





「…やっ!」





晴があたしの首筋に唇を押し付ける。


温かい感触が触れて、体に電気が走ったみたいにビクッと反応した。



その瞬間、あたしの体から力が抜けて、抵抗すら出来なくなる。