知ってるよ。
パソコンルームであたし見ちゃったんだよ。



美月先輩はオタクバージョンの晴に抱きついてた。



きっと、美月先輩は晴のことをあたし以上にいっぱい知ってる。

晴も美月先輩のこといっぱい知ってるんでしょ?



でも、それを言って“そうだよ”なんて返されたら本気で辛い。

だから言えない。





「…知らない!美月先輩の隣にいた優しそうな男の先輩が彼女のこと名前で呼んでたから名前を知ってるだけ」





あたしの言葉に、晴は眉をピクッと反応させた。





「優しそうな……ね」





そう言って鼻で笑う。

その笑いが、“何にも知らないくせに”って言ってる様に感じて悔しくなった。





「晴はあの素敵な友達に、あたしみたいな地味な子が友達だって思われたくなかったんだ?」


「は?んなわけねぇだろ?何言ってんだよ?」


「…違う…か……」





違う。

そもそも、晴はあたしのこと一度も「友達」って言ってくれたことなかった。

あたしが晴のこと一方的に友達って言い続けてただけだ。