また怒りが込み上げてくる。





「痛い!痛いってば!晴、離して!」


「……」





あたしの言葉なんて無視して歩いていく。




「離してってば!!」




晴に掴まれてる方の手を大きく振った。

その弾みで掴まれてた手が離れてく。


駅に向かう人達が、チラッとあたし達を見ていたけど、そんなのどうでも良く思うほど、あたしの怒りはピークに達してた。


それは晴も同じだったみたいで。





「お前ムカつく……」


「はい?」


「ムカつくって言ってんだよ!」


「なっ!?」




晴の暴言に、一瞬言葉を失って目を見開いた。

晴はあたしから目線を逸らせて不機嫌そうに眉を寄せてる。


傍若無人って四字熟語はきっと晴のために作られたものだわ!




「ム、ム、ムカついてんのはあたしの方なんですけど!?」




あまりの怒りに声が裏返る。

晴はあたしに目線を戻した。


腹が立つ!止まらない!




「あたしのこと知らんぷりしたくせに!」


「……」


「晴は、あの美人の美月先輩にあたしを会わせたくなかったんでしょ?」




言ってしまってから、ギュッと下唇を噛み締めた。

こんなのまるで嫉妬……。




「…お前、美月のこと知ってんのかよ?」




晴の口から出た美月って名前にどうしようもなく胸が締め上げられる。