トウヤさんのシャツを掴んでた手が離れていく。





「ひゃっ!?」





あたしを引き寄せたのは晴で、あたしは勢い余って晴の胸元に顔を突っ込んでた。


驚いて見上げたその顔は完全に不機嫌で、晴と目が合った瞬間、あたしの体は大きくビクッと反応した。





「トウヤさんすみません。俺、こいつに話があるんで!」


「はいはい!OK-!じゃぁまた明日なー」





トウヤさんにペコッと頭を下げた晴は、あたしの手首を引っ張ったまま早足で歩き始めた。


トウヤさんは「バイバーイ」なんて陽気に手を振っている。



どうしよう…晴を怒らせた…。

ごめんなさいって言った方がいいかな?


いやいや違う違う!

怒ってるのはあたしだった!




もう、痛い!

掴まれてる手首が痛いし、さっき晴の胸で打ったおでこも痛い!