あたしの言いたいことが分かったのか、店長が笑う。




「モカが来る前のハルは、基本、無表情で、たまにイライラしてる日があったな。モカが来てからは楽しそうに見えるよ」


「……」




ふと、初めてここに来た日のことを思い出した。

あの日の晴は、お客さんに出す水を荒々しく置いたりしてた。


そういえば、今の晴の丁寧な接客からは想像がつかない。





「モカのおかげだな」


「え?」


「まぁ、それには感謝してるけど、もうそろそろ高い食器を破壊し続けるのは勘弁してくれよ?」


「は、はい!」





モカのおかげ?店長の言葉が、あたしの落ちてた気持ちを上げていく。

本当にあたしのおかげかどうかは晴に聞かないと分からない。



でも、あたしが少しでも晴の力になれてたらいいなって思う。




あたしが晴に出会えたことに感謝してるように、晴もあたしに出会えたことを嬉しく思ってくれてるといいな。