春に気持ちを伝えられないまま、春ちゃんに本当のことを言えないまま月日が過ぎて、あたし達3人は同じ高校に合格した。


そして入学式の日、桜の木の下で3人で写真を撮った。




───…


『…うっ…みんなで同じ高校来れて良かったね……うっ…えぐっ』


『ちょっと、春ちゃん泣き過ぎだよ。入学式でそんなに泣く人いないよ…ねぇ、春も何とか言ってあげて』


『春華は、奇跡の合格だもんな……って、吉丘、お前も泣くのかよ!』


『だって、だって…また3年間一緒だと思ったら嬉しくて…』


『桃ちゃんもあたしも泣いてるんだから、春も泣きなよ…』


『そうだよ、泣きなよ…』


『泣くかよ…』


『あ、春もうるってきてる!』


『ホントだ!』


『…るっせー!』



───…





でも、仲良く笑い合えた高校生活は3ヶ月で終わった。





高校1年7月。


夏休みを間近に控えたあの日の放課後、図書館へ向かってたあたしの視界に、春と春ちゃんが向かい合ってる姿が入った。


人気のない中庭。


声を掛け様と息を吸い込んだ時、その言葉が耳に飛び込んできて、あたしはその場で立ち尽くした。





───…



『俺、春華のことが好きだ』


『……え?』


『もちろん友達としてではなくて、女の子として好きなんだ』


『……ちょ、ちょっと待って!あ、あたし…』


『俺のこと、男として見て欲しい』



───…




あたしがスクールバッグを落として大きな音を出してしまったから、春と春ちゃんがびっくりした顔で振り向いた。


あたしは2人のその目線に耐え切れなくなってその場から走り去った。