晴に春とのことを聞いて欲しい。



本当は、春のことが好きだった過去を、晴にだけはあんまり話したくない気持ちもある。

でも、今のあたしの思いを聞いて欲しい。





「強くなりたい。もう過去じゃなくて前を見て歩いていきたい」





痛む胸を押さえながら、絞る様に吐き出した言葉を聞いた晴があたしの手首を掴んだ。


びっくりして、その手首に視線を落としたあたしの上から声が落ちてくる。





「…分かった。行くぞ」


「へ?……どこに??」


「お前の家に決まってんだろうが?」


「い、いいの?」


「聞いてやるから……」


「え?……わっ!?」





次の瞬間、晴はあたしを引っ張って歩き出した。

一瞬絡みそうになった足を立て直して、その背中を見つめる。



まるで晴が未来へ一歩連れ出してくれたみたいな気がして、あたしの胸は熱を帯びた。