【完】ヒミツの恋を君と。

どこがよ!


晴なんて今はイケメンだけど普段はオタクチックなんだから!




それにさ、急に乙女の鼻を噛んじゃうような男ですよ?

その上、そんなことをした後だって、今まで通りなんら変わらない態度だし……。




…ふんっだ!




全然爽やかでも、クールでもないよっ!





「そういえばさっき、モカくんなんて言おうとしてたの?」


「え?さっき?」





目の前のお客さんにそう言われて首を傾げる。





「うん、ハルくんに口を塞がれる前になにか言いかけてなかった?確か、『あた……』とか?」


「え?…………あっ…」





『あ、えぇっ!?ご、ごめんなさい!あ、あた………っぐ!?』






はっ!?

気付いてなかった!



あたし、さっき砂糖をバラまいて動揺して“ぼく”じゃなくて“あたし”って言ってしまうところだったんだ。


良かった。

そんなこと口走ってたら、完全にあたしが女だってバレてたよ。




……あれ?

もしかして、それに気付いて晴は口を塞いだの?

あれは止めてくれたの?




そして気付けば、さっきまで面白がってあたしに絡み付いてたトウヤさんとリツキさんも今はもう違うテーブルで接客してる。





『守ってよ!』





晴にそう言った日のことを思い出した。


隣に立つ晴を見上げる。

あたしの目線に気付いたのか、晴もあたしの方をチラッと見るから、トクンと反応するあたしの心臓。