カプッ!




キス───…?

………い、痛い??





想像してたのとは違う感触に、驚いて目を開ける。


視界に飛び込んできたのは、右口角を上げた晴のイジワルな笑顔。

その顔を見て、あたしの心臓がバクバクありえない音を立てて鳴り響き始める。




「は、は、は、はなっ…はな……」




キスじゃなかった……でも、

は、は、晴があたしの鼻を噛んだ!!



一体何が何だか、パニックになるあたし。

噛まれた鼻が、燃える様に熱くて、頬にまで熱が伝っていく。


そんなあたしを見ながら、晴は満足そうに微笑んだ。





「さっきより真っ赤」


「……へ?」


「ざまぁみろって感じだな」


「…へ?……えっ?」





晴の言葉の意味も理解出来ず、呆然と立ちつくしたあたしの手から晴がパフェのグラスを引き抜いた。

そのままトレーの上に自分が飲んでたアイスコーヒーのグラスを載せて、店への扉の前に立つ。

動けないままでいるあたしを振り返った。





「店長に“モカは後10分休憩が必要です”って言っといてやるよ」


「……」


「その真っ赤な顔と乱れたウイッグ治してから、店に戻って来いよ」


「……」






そういい残して晴は店に戻っていった。