【完】ヒミツの恋を君と。

視界に入ったその姿にムッとしながらも、長い指の動きを目で追う。


昨日から数回見て思ってた。

晴のカップやお皿の置き方は音もなく、丁寧で、綺麗ですごいって。



でも今、



「……」



目の前の晴の給仕は……。


ガン!ガン!!ガン!!!





「……」





さっきまでの晴とは別人の様に、荒っぽい置き方をする。


零れ出すギリギリまでロイヤルミルクティの表面が波立って、あたしの方があわあわ慌ててしまった。





あんなに波立ってたにも関わらず、結局一滴も零れなかったのに驚き。

そんな晴の行動に、怒るどころか、「ワイルドなハルくんも素敵!」と喜ぶお姉様方に驚き。



目を丸くしてると、トウヤさんとリツキさんの声が両サイドから聞こえてきた。





「うわぁ、機嫌悪ー」


「わかりやすい態度ですねぇ…」


「……」





やっぱり機嫌悪いよね?

こんな風になったのってさっき目が合ってからだよね?





あたし何かした?





首を傾げるあたしの方に晴が勢いよく振り向いたかと思うと、その機嫌の悪い顔であたしの真正面に立った。