「こ、こ、こちらのお席のロイヤルミルクティを零してしまって申し訳ありませんでした!」





下げていた頭を上げると、お客様のお姉様3人がキラキラした顔であたしを見てて…。



ん?

お姉様方が見てる視線の先……右肩に、不自然な重みを感じてそちらの方に目線を向けると……!?!?




うっ、う、うわ──っ!?



トウヤさんの腕があたしの背中を周り、その手がものすごく自然にあたしの肩に置かれてた。

昨日晴が同じ様にされていたのを思い出す。




もちろんあたしの体はピシッと瞬間完全凍結。





「ユナちゃん、アイちゃん、マキちゃん、ごめんねー。モカまだ新入りくんだから許してあげてね!」





あたしの肩を抱いたまま、穏やかな声でそう言うとトウヤさん。

お姉様方は「いいのいいのー」と言いながら、くねくねしてる。


トウヤさんはきっと何をしても「ごめんねー」ひとつで許されるんだと思う。

イケメンは何でも許されるってやつだね…。




そんなことを思っていると、今度は右側に人影。


リツキさんが小さなお皿に入った、お詫びの品と思われるトリュフチョコをテーブルに置く。





「先ほどはモカが大変失礼を致しました。これは、他のお客様には内緒でお願いします…」





そう言いながらトリュフを指差した後、その指を「しー」っと口に当てるポーズをする。

するとお姉様方から、「ほぅ~」というなんとも言えない溜息が漏れた。





「モカって可愛いでしょ?いじりがいあるんだよ。よろしくしてやってね」





トウヤさんがそう言いながら、もう片方の腕もあたしに回すから、あたしの体はトウヤさんの腕に包まれるみたいになる。