「ありがとう……晴ぅ…」





大惨事の危機から脱したあたしの情けない顔を見て、晴があたしに警告するように眉を寄せる。





はっ!あたし女言葉になってる?

仕草が女っぽくなってる?




その警告の意味に気付いたあたしは同時に周りからの刺す様な視線にも気が付いた。





「はぁ~」





あたしと晴のやり取りを見ていたお客さん達が、甘い溜息を漏らして、キラキラした目であたし達を見てる!



晴に握られてるあたしの手元とあたし達の顔を交互に見てる!…って、えっ!?




なんだか急に握られてる手が恥かしくなって、カァッと顔に熱が上っていくのを感じて咄嗟に俯いた。




カウンターから店長があたしの顔を覗きこんでニヤっと笑ってるのが見えた。


それがまた恥かしくてあたしの熱が増していく。





「モカー、ロイヤルミルクティ入れなおすから、3番テーブルのお客様に謝っておいで」


「は、はい……すみませんでした」





晴の手があたしの手を離す。

そして、トレーを持って、あたしの変わりにカウンターの中に持っていってくれる。


晴の行動ひとつひとつに、心臓が跳ねてしまうあたし。





「あ、ありがと……晴」


「おう」





あたしは、赤い顔を誰にも、もちろん晴にも見せないように、俯き気味に3番テーブルに向かった。


すでに、トウヤさんがそのテーブルの前にいて、その王子様スマイルであたしを出迎えてくれてる。


トウヤさんの隣に立って、お客様の方に向いてから、勢いよく頭を下げた。