「やっぱり……なに…?これ?どうしたの?」


「……なんでもねぇよ」





晴の背中、腰近くの脇腹辺りに結構大きなアザが2ヶ所もある。

それは最近出来たようなアザで、痛そうで。




見てるとあたしまで痛みを感じる様で、顔をしかめた。





「……転んだだけだよ」


「転んだ?」


「あぁ」





晴はあたしの手をシャツから離させて、シャツを元通りにし、上からベストを羽織った。


バツが悪そうにあたしから目線を逸らせる晴を見てると痛いんじゃないかと心配になる。

晴の顔を下から覗き込む。





「大丈夫?痛くない?」


「大丈夫だよ…」





そう答えた晴がチラッとこっちを向いたから、少し安心して息を吐き出した。




「でも、そんなとこにアザが出来るほど打つなんて、どんな激しい転び方したの?晴ってさ、結構どんくさいよね……」





あはは~。と、笑いながらそう言ってから、即後悔。

は、晴様の顔が怒っていらっしゃいます!





「だ、大丈夫だよ晴……あたしもよく転ぶよ。同じだよ同じ。“どんくさい同盟”だよ!」



「何が“どんくさい同盟”だ。一緒にすんな」



「い、痛い!痛いです!」





晴に頭ぐりぐりされて叫ぶあたし。

それを見て、晴が笑う。





「お前の間抜けぶりを見てると、悩みとかそんなこと、なんかもうどうでもいい事のように感じるな……」





え?悩み?

その言葉にびっくりして晴の顔を見上げる。