あの日から数日がたった。

あの日は普通に朝、教室であって会話をした。


…まるで何事も無かったかのように


歌唱力コンテストまであと二日。
私は、安樹に貰った台本をひたすらに覚えた。

んとと…
うん、大体覚えた。

梶くんの他に四人、出場するらしい

…梶くんの歌唱力だと優勝は決まっているけどね

梶くんはやはり椎が言っていた通り、美空慧に似ている、と学校で話題になっていた。

、でその梶くんが慧の歌を歌うのだから…話題勃発。

梶くんも狙っているのか違うのか…



ん…?台本の最後のページに…

“それでは!優勝者の発表です!優勝者には我が校から優勝賞品があります”


…だって
なーんも聞いてないのだけれど。
クラスの一度も話したこともなく、今隣に居る子に聞こう。


「ねぇ、貴女。明後日の歌唱力コンテストの優勝賞品…」


「ひゃっあ!…華様っ」


…?

「ねぇ、聞きたいのだけれど。聞きたい事は沢山あるのだけれど、1番に聞きたいのは華様ってなに?」


「すみませっ…華神様です!」


「…いやいや、様、神様の問題ではなくて…なぜ様付けなの?同じ学年よ…?」


「生徒会と仲の良い人達は様付けという学園の決まりです。もしかして…華様知りませんでした?」


…生徒手帳とか全く読まないタイプですもん。


「…恥ずかしながら。でも様付けは…なんか恥ずかしいというかなんというか…」


「でもこれは決まりですので。あら、静可様がいらっしゃる!皆様いきますよ!」


まわりにいた女の子が一斉に“はいっ”と言った。


「あ、申し遅れました。私静可様ファンクラブの会長でして…。優勝賞品の話もしてないですね、私達もまだ知らないのです。きっと杏樹様ならきっと…では失礼させていただきますわ」


そしてげたばこにいる静の元へ全力疾走して行ってしまった。


まったく優勝賞品のことを知らないまま時は過ぎていった