結構高そうな万年筆。 よく見ると、名前が彫られている。 きっと特注品なのだろう。 筆記体で"Masato.K"と書かれていた。 マサト、さん…… 心の中で名前を呼んでみた。 素敵な名前。 初めて会話したあの低く柔らかな声を思い出し、何だか照れ臭くなる。 マサトさんって言うんだ… きっと、大切なものだよね。 駅に着いたら駅員さんに届けようかな。 私はふふふと笑って、その万年筆を胸ポケットにしまったのだった。