あいつに会ったのは蒸し暑い時期だった。

会社の飲み会で違う部署にあいつはいた。

相沢香苗

香苗の周りには常に男が群がっていた。

私には接点のない人でおそらく一生話すことはないだろうと思っていた。

ビールジョッキを片手にそんなことを考えていると

「飲んでます?」

衝撃的だった。

新しく入社してきた新人の男の子が話しかけてきた。

私は飲み会で人から話しかけられたことなんてない

いつも端っこで飲んでお会計が済んだら

ビルの裏道を抜けて一人で帰るのがいつものパターンだった。