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『愛優!どこだ愛優!!』
色んな場所を探し続けて1時間
気付けば
いつの間にか
辺りは薄暗く
日は落ちかけていた
『どこ行ったんだよ…』
結城は走り続けて乱れた呼吸を整える
愛優が危ない
陸の言葉が頭の中で
何度も何度も響いて
気持ちだけが急かされる
そんな中
降り出すにわか雨
『…こんな時に』
傘持ってないなって
今はそれ所じゃない
どんどん
どんどん
激しくなる雨に
体はびしょ濡れ
『早く愛優を見つけな…』
カンカンカンカンカンカン…
途中
完全にバーが降り音が鳴る
踏み切りに通せんぼされて
その場で立ち止まる
遠くから近付いて来る電車
それを見てると
千紘がひかれたあの時を思い出す
『千紘…』
友達だと
思ってた
千紘が悪魔
悪魔は
人に乗り移る事があると言うけど
まさか本当にそんな事があるとは
今でも信じられない
血だらけの線路にぐちゃぐちゃの体
悲鳴に人だかり
あの時の事が
あの時の感情
まだ鮮明に覚えてる
カンカンカンカンカンカン…
電車が通り過ぎ
音が鳴り止みバーが上がる
バーの上がった
踏み切りを渡ろうとした結城は
『……。』
あの時探してた
美樹の存在を思い出す
いや あれは本当に
美樹だったのか?
千紘を殺そうとしたあの女の子は
加奈いわく操られてたと…
『……。』
本当にそうか?
普通の女の子がそんな事出来る?
千紘と同じく誰かに
操られてたとしたら
ふと
頭に浮かんだのは
空き家になってる
元江波家の家
『……。』
俺は踏み切りを渡らず
気が付いたら
元江波家の
家がある方向に向かっていた。


