「じゃあ俺、こっちだから」 駅で翼先輩が言った。 家の方向が逆なので、反対側のホームに行くんだ。 「はい!今日はありがとうございました! 今までで最高の誕生日でしたっ」 トントンと階段を降りてホームに着くと、反対側のホームに翼先輩。 翼先輩もこっちに気付いた。 手を振ると、振り返してくれる。 『す・き・で・す』 ゆっくり口を動かして、伝えた。 瞬間、電車が来て翼先輩は見えなくなってしまった。 電車に乗っても、緩む頬を隠すのに必死だった。