――――――――――――― 「はぁ……何してんの」 そんな言葉と共に、渡されたプリント。 あ、そう言えばプリント拾うの忘れてた。 我に返ったあたしは、 「ありがとうございま……翼先輩!」 目を丸くした。 「何ボーッとしてんだよ」 笑いながら聞く翼先輩に、 「翼先輩のこと考えてました」 って言うと翼先輩は、は?って顔したけど。 多分、あの日の事なんて覚えてないんだろうな。 あたしにとっては特別な思い出でも、翼先輩にとっては忘れちゃうような事だと思う。 そう、思ったのに。