驚いて顔を上げると、そこにいた彼に、 一瞬、息が止まるかと思った-…。 ヘアワックスでふわっとセットされた、風に揺れる黒髪。 しゃがんでいてもわかる高身長。 前髪の間から覗く、切れ長の瞳。 あたしも慌ててプリントを受け取り、頭を下げた。 「どこまで持って行くの」 あたしの手からプリントの2/3くらいを軽々と持ち、そう聞いてきた彼。 「え……あ、資料室です!」 「そう」 それだけ言って歩き出した彼。 あたしも慌ててついて行った。 …手伝って……くれるのかな。