校舎の影から中庭を覗くと、翼先輩と西原がいた。
「えっ……」
驚いて思わず声が出てしまった口を手で押さえ、また中庭を見る。
「俺は如月が好きです。
早見先輩と一緒にいる如月は、振り回されてるようにしか見えない。
早見先輩は本当に如月が好きなんですか?
早見先輩なら他にも女はいるじゃないですか。
どうして如月なんですか?」
……これ、あたし聞いちゃダメだよね?
でも足が動かない。
ごめんなさい、気になります!
「他にも女は、いないよ。
俺には茉桜だけだ」
体中に電流が走ったみたいに熱くなる。
「茉桜は渡さない」
ドキドキが止まらない。