「茉桜、また明日ね」




美紅に言われて、バイバイ、と手を振る。


よし、あたしも帰ろう。



美紅は河合先輩と帰るらしいけど、翼先輩は今日は一緒に帰れないらしい。

何か用事があるとか。




待っててもいいかなって思ったけど、迷惑になったら嫌だ。



仕方なくスクールバッグを肩からかけて、教室を出た。




ココアでも飲みたいな、と思って自販機でココアを買い、冷たい両手を温めた。








「----」


「----!」






中庭から微かに聞こえた声に、ハッとする。



小さい声でも聞き間違えるはずのない低音ボイス。



翼先輩……?