「っ……、消えちゃった」 キキィッと止まった自転車。 乱れた息を整える翼先輩。 「……疲れた」 そう言って笑う翼先輩は、いつもの大人な彼とは違って。 子どもみたいに、無邪気な笑顔。 「じゃあ、帰りはあたしが漕ぎます!」 「できんの?」 「はいっ! 結構体力はあるんですよ?」 近くにあった自販機で飲み物を買って、帰ることにした。 「よしっ!」 気合いを入れて自転車に跨がる。 翼先輩を後ろに乗せて、ペダルを踏む。