櫻庭さんと話した時と同じ、中庭のベンチに並んで座った。
「百合は中学の時の彼女で、高1まで付き合ってた」
「はい……」
「でも学校が違うからすれ違ってて、百合が仲良かった同じ高校のヤツに告られて。
それをキッカケに別れた」
「……」
なんて言っていいかわからない。
わからないから、視線を落とす。
「でも百合が悪いんじゃなくて、俺がそっけなかったから。
百合が寂しい時に、気付いてやれなかった。
だから百合が他のヤツにとられたこと、当然だと思ってる」
チラ、と隣の翼先輩を見上げると、優しいような、寂しいような、切ない表情をしていた。
「だから俺、恋とか面倒だと思ってた。
でもお前のことは……、大事にするよ。
離さないように」
涙で、自分の靴がぼやけて見える。



