32回、好きって言うよ。





櫻庭さんと話した時と同じ、中庭のベンチに並んで座った。





「百合は中学の時の彼女で、高1まで付き合ってた」



「はい……」




「でも学校が違うからすれ違ってて、百合が仲良かった同じ高校のヤツに告られて。
それをキッカケに別れた」


「……」



なんて言っていいかわからない。

わからないから、視線を落とす。




「でも百合が悪いんじゃなくて、俺がそっけなかったから。


百合が寂しい時に、気付いてやれなかった。

だから百合が他のヤツにとられたこと、当然だと思ってる」





チラ、と隣の翼先輩を見上げると、優しいような、寂しいような、切ない表情をしていた。







「だから俺、恋とか面倒だと思ってた。

でもお前のことは……、大事にするよ。


離さないように」





涙で、自分の靴がぼやけて見える。