「茉桜、次理科室だよ」 「あ、うん!」 美紅と廊下に出て、少し先に見つけた翼先輩の背中。 「あ、…翼せんぱ……」 「早見くん!」 チャンスを逃さないように声を上げたのに、先に呼ばれてしまった翼先輩。 綺麗な3年の先輩と話してる。 少し視線を落とすと見える自分のつま先が涙でぼやける。 そうだよ。 元から翼先輩は、あたしには手の届かないような人だった。 ねえ、振り向いてください。 あたしに、気づいてください。 なんで……、何で届かないのかな…?