美紅に話せなかったのは、自分でもわかっていないから。
櫻庭さんとの今の関係も、翼先輩のことも。
何も、知らないから。
「無理にとは言わないけど、話くらい聞くよ?」
「……」
1人で考えていても答えが出ないと確信したあたしは、ポツリポツリと話し出した。
そして全てを聞いた美紅は、あきれた顔をした。
「何それ。早見先輩が可哀想」
「へ…」
「“勝手に”元カノが会いに来て?
“勝手に”誤解した茉桜に避けられて?
マジ何?って感じじゃん」
「はっ!」
そっか。そうだよね。
今までうるさいくらいに“好き好き”言ってたあたしに避けられたら、何?って思うよね。
嫌な気もするよね。
そもそもあたしは怖いから避けてて。
そんなのあたしの自分勝手で。
うわ~、最悪。どうしよう。
嫌われちゃったかもしれない。
さっきにも増して生気を失ったあたしは、バタッと机に頭を預けた。