今日もまた、溜め息をついて校門をくぐった。あの日から一週間。




あのシュシュはやっぱり付けられなくて、今日も髪はおろしている。




「茉桜って本当、わかりやすいよね」



教室に入るなり言われた美紅の開口第一声。



「え?」


「何か隠してる。
ていうかテンション低すぎ」



う、バレてる。
内心慌てながらも、また笑顔をつくる。



「全然元気だよー!」


「嘘」



美紅の顔が近い。
必死に目を合わせないように顔を背ける。



「早見先輩にもらったシュシュはどうしたの?
今さっき廊下を通った先輩に声をかけなかったのは何でなの?
最近恋バナしないのは何でなの?」



「……」




鋭い質問責めに言葉を失う。



前髪を直すふりをして目元を隠した。


……こうしないと涙目なのがバレちゃうから。