「翼って、鎖骨らへんにホクロあるよね」 ふふ、と笑いながら話すのも櫻庭さん。 いつもはワイシャツで隠れているホクロを知っているのは、“彼女”だったから。 「そう、なんですか」 「ああ見えて意外と甘いものも好きだよね」 「…そうですか」 “ね”なんて言われたって、知ってるわけがない。 へぇ、ホクロあるんだ、とか。 甘いもの好きなんだ、とか。 そう言えばパフェも食べてたな、なんて考える。 頬杖をついて笑う櫻庭さんは本当に可愛くて。 こんな人に好かれて、嫌な人なんていないと思った。