あまりにも自然にそう言われたので、「あ、はい」と普通に立ち上がってしまった。いざ歌おうとすると、他人で溢れている路傍で歌うよりよっぽど緊張する。だが、口を開くと自然と無心になれた。
「――、――♪」
静かに口から流れ出た歌は、子供に聴かせるような童謡だった。世間知らずな獣人にも分かるような歌にしたかったのだろう。
もちろん白火はこの世界発祥の物は何も知らないのだが、そんなことアリアが知るはずもない。
白火は目を見開いた。
「――、――♪」
シンプルながら耳慣れぬ音程のメロディを気に入ったようで、じっと聴き入っている。目を閉じて首を僅かに傾けたまま、ピクリとも動かない。
それは包み込むような優しさを秘めた歌だった。それでいてしっかり芯が通っている強かさも感じる。
ただ歌が上手いだけではない。何かの“力”が宿っているように白火は感じた。
(これは、そう。まるで――…)
顔も忘れた母に抱きしめられたような安らぎ。
心ノ臓を鷲掴みにされたような衝撃。
そんな感銘を受けた。
ずっと歌っていて欲しい。曲を終わらせたくない。
「――、――♪」
静かに口から流れ出た歌は、子供に聴かせるような童謡だった。世間知らずな獣人にも分かるような歌にしたかったのだろう。
もちろん白火はこの世界発祥の物は何も知らないのだが、そんなことアリアが知るはずもない。
白火は目を見開いた。
「――、――♪」
シンプルながら耳慣れぬ音程のメロディを気に入ったようで、じっと聴き入っている。目を閉じて首を僅かに傾けたまま、ピクリとも動かない。
それは包み込むような優しさを秘めた歌だった。それでいてしっかり芯が通っている強かさも感じる。
ただ歌が上手いだけではない。何かの“力”が宿っているように白火は感じた。
(これは、そう。まるで――…)
顔も忘れた母に抱きしめられたような安らぎ。
心ノ臓を鷲掴みにされたような衝撃。
そんな感銘を受けた。
ずっと歌っていて欲しい。曲を終わらせたくない。
