白狐のアリア

なんとなく刀を胸に抱えて、寂しさを紛らわすようにちろちろと燃える焚き火をみつめていた。

 どのくらい時間がたったのかわからない。木の葉を踏む音がして顔をあげると、そこには消えた筈の白火がいた。


「あっ……」

「お前、兎は捌けるか」

「う、うさぎ!?」


 その様子を見て一目で無理だと判断した白火は、包丁を探すも荷物を全て奪われたアリアは持っておらず、ましてや白火など身一つでこの世界にやってきたのだから、そんなもの持っているはずもない。
 ため息をついて再び木立の奥へと消えると、しばらくして再びやってきた。先が鋭い木の枝もいくつか拾ってきている。


「……それって、さっきの…」

「食わねば俺たちが死ぬだろう?」

「……」


 白火の血に染まった人差し指と、未だに血が滴っている(かるく水で流した形跡はあった)羽のむしり取られた何かの肉をみて、アリアは気分が悪くなりそうだった。