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~~♪
どこかで歌が聞こえる。
目が醒めると、すでに太陽は落ち、月が登り始めるような頃合だった。パチパチと火が爆ぜる音がする。
(気を失ったのか、俺は……)
妙に寝心地のよい暖かな枕に寝返りをうつと、頭上からのんきな声が聞こえた。
「あ、起きました?」
頭上には見覚えのない人間の小娘の顔。いや、そういえば気を失う前、この小娘と多少喋った記憶がある。
いや、それよりも、如何に人畜無害そうな痩せぎすの人間の少女とはいえ、この俺が他人に膝枕などさせてしまったのに驚きを隠せない。ここまで接近されて尚気を抜いてしまうとは、不覚の極みである。
無言でむくりと起き上がると、肩から紺色の羽織がはらりと落ちた。
「熱があったんですよ。覚えてます? すみません、毛布とか、昨日まではあったんですけど、全部盗賊に取られちゃって……」
そういえば、この小娘、盗賊に襲われていたのだった。
別に小娘のせいではあるまいに、心底申し訳なさそうにする様子から、真面目で良心的な人間なのだろうと思った。
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どこかで歌が聞こえる。
目が醒めると、すでに太陽は落ち、月が登り始めるような頃合だった。パチパチと火が爆ぜる音がする。
(気を失ったのか、俺は……)
妙に寝心地のよい暖かな枕に寝返りをうつと、頭上からのんきな声が聞こえた。
「あ、起きました?」
頭上には見覚えのない人間の小娘の顔。いや、そういえば気を失う前、この小娘と多少喋った記憶がある。
いや、それよりも、如何に人畜無害そうな痩せぎすの人間の少女とはいえ、この俺が他人に膝枕などさせてしまったのに驚きを隠せない。ここまで接近されて尚気を抜いてしまうとは、不覚の極みである。
無言でむくりと起き上がると、肩から紺色の羽織がはらりと落ちた。
「熱があったんですよ。覚えてます? すみません、毛布とか、昨日まではあったんですけど、全部盗賊に取られちゃって……」
そういえば、この小娘、盗賊に襲われていたのだった。
別に小娘のせいではあるまいに、心底申し訳なさそうにする様子から、真面目で良心的な人間なのだろうと思った。
