白狐のアリア

 ガシッと肩を押さえつけられると、膝下まであるスカートをたくしあげられた。


「ヒッ…! い、いや!」

「悪いが大金がかかってるもんでね、嬢ちゃん。
 まだ若いから平気だろうが、万が一お手つきだとせっかくの銀一枚半も半額になっちまう。信頼の商売だからよぉ。
 何、確かめるだけだから、よ。多分なぁ」

「おい、俺にもやらせてくれよ」

「馬鹿、俺もだ」


 他の盗賊の催促が悪魔の声にしか聞こえない。
 そのまま下着にまで手をかけられ、諦めの気持ちだけが浮かぶ。抵抗しようにも2人がかりで押さえつけられ、足もはしたなく開くほかなかった。


(もう、やだ……)


 こぼれ落ちる涙もが盗賊を興奮させる。
 しゃくりあげながら目を閉じた瞬間、ぴたりと周りの盗賊のはやし立てる声が押し黙った。


「おい、下衆ども」


 ――涼やかな低い声が、静寂をもたらした。