その女性は三年間留年した挙句、中退した。


 同じ学部で専攻も同じ日本文学だったのだけれど、中退後、銀座でアパレル関係の会社を立ち上げ、仕事をし始めたと聞いている。


 そういった、別の意味での成功者も大勢いるのだ。


 別に気に留めてなかったのだけれど……。


 あたしも卒業後、ずっと一会社員だ。


 いくら主任とは言っても、そんなもの単なる肩書きに過ぎない。


 そう思っているのだった。


 肩書きが通用するほど、世の中、甘くないのである。


 現に同期入社した人間でも、大勢辞めていっていた。


 そんな人間たちとも一切関わってないのだし、今後も関わりたくない。


 どちらかと言えば一匹狼のタイプだった。


 群れるのを、極度に嫌うのである。