何か恐ろしい計画が進行中なのかもしれなかった。


 株の揉め事を巡り、一番助けになるのは金融庁だ。


 企業の会計監査などをやるのは、あの手の部署の人間たちだからである。


 仮に不正な取引などがあったとすれば、仕掛けた方も仕掛けられた方も、同じ罰則を食らう。


 そしてその週の火曜、成川を始めとする加賀美コンツェルンの株式担当者が、朝と昼二回の立会時間外で、うちの社の株を更に10パーセント超取得した。


 つまり、株式を四割以上保有する事実上の筆頭株主に躍り出たわけである。


 あたしも危険な感じがしていた。


 何かがありそうな。


 株を握ることで、事実上、社自体を乗っ取ってしまうことも十分考えられた。


 成川が虚言を吐いたような気がする。


 あのレストランで。


 あたしも株に関する知識がほとんどないから、巻き込まれると大変なことになると感じ