山崎課長が俺のデスクの上に本を投げて来た。



山崎課長は、腰を振りながら自分の、席に戻った。



課長程になると、怒っていても笑いを忘れないのだ。



しかし、年齢からか腰の振りに切れがなく、いまいち笑えなかった…



俺は、その粗末な紙で作られた本を取り上げタイトルを読みながらページをパラパラと捲った。



粗末な紙で作られていたが、沢山の人間が、読んだらしい痕跡があった。



中盤のおそらく盛り上がる場面であろう所には、模造コーヒーを溢した跡が黄色く残っていた。



タイトルは、君と宇宙で会えたらアチョー!!だった。



表紙に黒くそう書かれただけで、イラスト等は、何もなかった。


敵ながらアチョーは、入れたくなかったのだろうと思うと、少しだけ同情したが、俺はくだらない感傷を捨てると、本をゆっくり食べた。



甘い甘過ぎる!俺は、専用のゴミ箱に、食べた物を吐いた。


背中が痒くなってくるのを我慢したが、耐えられなくて冷や汗が出て来る。



隣の同僚の、木内に見られてるのに気付き俺は、顎をつきだして笑って見せた。