「……おじ様、おば様」 「椎香ちゃん…」 翼のお母さんが、目尻を絹のハンカチで抑え お父さんに支えられて立っていたから――手術室の前に その後ろで加藤さんが深々と頭を下げた 「すみません…っ私が駅までお坊ちゃんをお送りしていれば…」 「あなたは何も悪くないわ。翼が歩いて行くって言ったんですもの…」