「こんなんじゃ、翼くんお嫁に貰ってくれないわね」 「あはは、そんなことないですよ」 ――思ってもないくせに 横目で翼を睨みながら卵焼きに手を伸ばす あたし達の間に婚約の話が出たのは、8歳のとき 『どうだね、仲のいい2人が婚約なんていいことじゃないか。家としても悪いことじゃないだろう?』 今は亡き偉大な権力を持つ、大じいさまがあたし達に言った