「確かここを曲がったんだよね?」


かすみが聞いてきたので、聖良は頷いた。


ここは聖良も覚えている。


ここを曲がって少し行ったところで、雨が降り出したので走り出したのだ。



「あっ!」


かすみが声を上げたので、聖良も注視する。




少し先に瑞貴が立っていた。



「瑞貴!」


かすみが大声で名前を呼ぶと、雨に濡れてびしょびしょの瑞貴が、震えながら振り返った。