水、食料、着物など。 とにかく、何処に行くのか?と聞きたくなるほどの物を、詰め込んでいった。 小さな、京の隅っこにある空き家。 私が住んでいた家は、お世辞にも大きいとは言えない。 だから、少し物が無くなるだけで、ガランとした広さになる。 『千歳、もう出てくのか?まだ少ししか住んでないのに』 頭の中に響く声。 「だって、いい加減出てかないと、怪しまれるだろう?」 その声に、小さな声で返答する。 普通の声で話していると、どうしても周りから変な目で見られてしまう。