「すみません、入りますよ」



そう、襖の外から掛かる声に、うつらうつらしていた私は目を開けた。


スッと開けられ、漏れ出す光は赤く、今が夕方だということが分かる。



「薬と夕餉です。まだきついかもしれませんが、食べないと治りも遅くなりますので」



盆に乗せた食器を見せ、私の布団の横に腰を下ろす。


・・・・・山崎烝、という名前だっただろうか。


私がここに来て数日、しばらくの間沖田と一緒に面倒を見てくれていた。


あの時の優しい雰囲気も、今なら演技だったということが分かる。



「・・・・・どうも。でも、いらない」