『ありがとう。 千歳』 たった、それだけの言葉が書かれた手紙。 震えた文字の後を指でなぞりながら、その上に、また涙が落ちた。 「――――・・・・・千歳さんは」 静まり返った空間の中で、静かに山崎が口を開く。 それに耳を傾けながら、必死に目に力を込めた。 泣くな、俺――――泣くな。 「自分が想いを伝えたら、自分は良くともあなたが辛いと。 あなたが笑っているなら、それで良いのだと。 ・・・・・あなたが好きだからこそ」 いつもより良く喋る山崎は、いつもの無表情で淡々と言葉を続ける。