さぁぁぁぁぁぁ・・・・・っと、風が木を揺らした。 自分の身体が、ふと軽くなるような感覚。 それの妙な感覚に身を任せながら、私はそっと目を閉じた。 ありがと、土方。 お願い、泣かないで。 ・・・・・もう、十分だから。 「消えるな・・・・・お願いだからっ」 叫ぶ土方の声が、人の子一人いない境内に響き渡る。 静かに手を伸ばして、そっと土方の頬に手を触れた。 指先で涙を拭いながら、フッと微笑んだ。