静かに目を伏せ、手に握った羽織を見つめた。 強い目に言葉は発せず、心の中で静かに呟く。 ・・・・・だってね、山崎。 あと一瞬で、あと少しで消えてしまうの、私は。 あの日の泉箕のように、薄く羽織を映してしまった自分の手を、ギュッと握る。 黙り込んでしまった私を、不思議そうに見つめる山崎。 しかし、その目に私のその姿を映した瞬間、息を呑むのが分かった。 「・・・・・分かった?こうやって、消えて行くの」 だから、二回目に土方が『好き』って言ってくれても、あの返答が限界だった。