「泉箕、泉箕っ・・・・・・っ」 何度も、泉箕の背中を掴もうとした。 けれど、手元に残ったのは泉箕の、あの大好きだった陽だまりのような香り。 それと、微かな温もりだけだった。 “――――ずっと、愛してる・・・・・俺の、娘よ” 泉箕は、消えた。 光の雫となって、光の差し込む空へと―――― 吸い込まれるように。 「・・・・・っ、ふぇっ・・・・・」 泣きながら、縁へと這いずり出すように、部屋を出る。