静かに出て行く足音を聞きながら、はぁ、と溜息をついた。


――――もう、手は完全に透けて、自分の目でも見る事は出来ない。



千歳に、謝りたかった。


辛い思いしかさせられなくて。


もっと上手く、もっと、ちゃんと・・・・・


生かしてやれなくて、ごめん、と。



娘のように思っていた千歳は、自分の事を想っていてくれた。


憎んで、いないのか。



『すまぬ、千歳・・・・・っ。

――――俺の、娘・・・・・』



そっと目を閉じながら、独り言のように、うわ言のように呟いた。


*泉箕side end.