『・・・・・千歳』 柔らかい声で呼ばれ、顔を上げた瞬間、私は目を見開いた。 後ろに置かれた燭台の蝋燭。 その橙色の光が、泉箕の白い首から何故か見えていた。 ・・・・・不思議そうに首を傾げる姿も、やはりどこかあやふやな靄を通して見ている気がした。 「――――・・・・・っ」 パクパクと、空気しか漏れない口。 私の視線に気が付いたのだろう。 泉箕は自分の手の平を見つめ、悲しそうに微笑んだ。