蝉の声が、道場を包む。 太鼓を打ち鳴らしているかのような大音響が、暑さを駆り立てていた。 目にまで入ってくる汗を拭おうと、両手に握った竹刀を下ろした。 『お疲れ、千歳』 「・・・・・泉箕?」 振り返ると、汗一つ流さず笑う、泉箕がいた。 外へ出よう、と目で言われ道場を出ていく後姿を追う。 目を刺すような日差しに、一瞬瞼を閉じながらも、泉箕のいる影へと急いだ。 『千歳・・・・・いつまで、稽古に参加するつもりだ?』 唐突に投げかけられた質問に、困惑しながらも、用意していた言葉を返す。