「おめぇが死んでいれば、なんて、誰も思ってない。

・・・・・少なくとも、俺は、おめぇに逢えて良かった」



耳元で囁く声は、掠れて、雨音に掻き消されそうになっていた。


そして、どこか泣き出しそうな声。



「おめぇが、俺の事を嫌いだといっても。

俺は、おめぇの傍にずっといる。

――――最後の、最後まで、ずっと」



嘘じゃない、いつだって土方は。


顔を上げると、泣きながら、土方は微笑んでいた。


・・・・・そして、もう一度私を抱きしめる。



「お前は――――あの時願って、生きていて良かったんだ」



もう、空ですら流しきれない涙が、土方の方を濡らして行った。