――――たかが、復讐の為に。


たかが、死ねば消える、一時の怒りの為に。


何で、願ってしまったのだろう?



「あの時、願わなければ良かった!!

あの時死んでしまえば・・・・・一人で死んでいれば」



そう呟く私を、大好きな香りが包む。


投げ捨てられた傘が、雨の中に音も無く落ちていく。


冷たくなった体に、温もりが染みていく。



「こんな、こんな――――

泉箕の人生を狂わしてまで、生きたくなんてなかった!!」



そう泣き叫ぶ私を、土方が強く抱きしめた。