「ったく、こっちだよ」 寸での所で私をかわし、次は土方が私の手を引いた。 もう暗くなった空、山に囲われた京の町に、花火の音が響き渡っている。 狭苦しい空が明るくなるのを想像しながら、私はふふっと笑った。 「土方――――まだ着かないの?」 「もう着く。ってか、おめぇが道間違えたんだろうが」 「そんな事言われたってさ、道なんて一々覚えてないし」 売り言葉に、買い言葉。 気付いたら、打ち上げ花火のよく見える川沿いに着いていた。 ・・・・・辺りを染める、色とりどりの煌き。